【令和8年熊本地震】従業員・企業向け支援制度と心のケアについて


令和8年熊本地震により被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。被災された皆様の安全と、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

現在も復旧活動が続いている地域があります。まずは身の安全を最優先にし、避難、医療、生活の確保など、必要な対応を落ち着いて進めてください。

令和8年熊本地震の発生を受け、国や関係機関から、従業員・企業向けの各種支援策が公表されています。

本記事では、現時点で公表されている主な支援制度と、災害時に企業として意識しておきたい心のケアについて整理します。

※掲載内容は、2026年8月5日時点の公表情報をもとに作成しています。今後、支援内容が追加・変更される可能性がありますので、

 最新情報は各省庁・関係機関のウェブサイトでご確認ください。


1. 雇用・労働に関する支援制度

厚生労働省では、令和8年熊本地震に関する雇用・労働分野の特例措置や支援制度を公表しています。

従業員向けの支援としては、雇用保険の基本手当、いわゆる失業手当に関する特例措置があります。

勤務先が地震により直接被害を受け、やむを得ず一時的に離職する場合など、一定の要件を満たすと、

雇用保険の基本手当の特例措置の対象となる可能性があります。

地震の影響により休業や一時離職を余儀なくされる従業員がいる場合、企業としても、

利用できる制度や相談先を案内できるようにしておくことが大切です。

手続きの方法や対象要件に迷う場合は、最寄りのハローワークへ確認することをおすすめします。

また、勤務先が地震により被害を受けたことで倒産状態となり、賃金が支払われないまま退職することとなった場合には、

未払賃金立替払制度を利用できる場合があります。

未払賃金立替払制度は、一定の要件を満たす場合に、国が企業に代わって未払賃金の一部を立替払いする制度です。

今回の地震による被災地域では、申請手続きの簡略化も行われています。

従業員の生活を守るためにも、賃金の支払いが困難となる可能性がある場合や、退職者への未払賃金が発生している場合には、

早めに制度の内容を確認することが重要です。


2. 企業向けの雇用関係助成金と相談窓口

企業向けには、雇用調整助成金をはじめとする雇用関係助成金を活用できる場合があります。

雇用調整助成金は、災害の発生そのものを支給要件とする制度ではありません。

原則として、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、従業員を休業させる場合などに、一定の要件を満たすことで対象となる制度です。

そのため、地震による被害を受けた場合であっても、その影響が制度上の「経済上の理由」に該当するかどうかは、個別に確認する必要があります。

過去の災害時には、支給要件の緩和や助成率の引上げなど、特例措置が講じられた例もあります。

今回の地震に関する取扱いについては、最新の公表情報を確認し、労働局やハローワークへ相談することが重要です。

また、熊本労働局管内では、地震の影響による労働相談に対応するため、特別労働相談窓口が設置されています。

休業、賃金、雇用保険、助成金、労務管理上の取扱いなどについて不明点がある場合は、早めに相談先を確認しておきましょう。


3. 医療機関の受診に関する取扱い

今回の地震を受け、マイナ保険証や資格確認書を持参できない場合でも、医療機関を受診できる取扱いが案内されています。

被災地域の医療機関・薬局では、マイナ保険証や資格確認書を紛失した場合や、自宅に残したまま避難した場合でも、

氏名や生年月日などにより資格情報を確認できる取扱いが案内されています。

避難中の従業員や、保険証類を持ち出せなかった従業員がいる場合には、企業としても、このような取扱いを案内できるようにしておくと安心です。

なお、加入している健康保険が協会けんぽ以外の場合は、各健康保険組合の案内を確認する必要があります。

従業員から相談があった場合に備え、加入先ごとの確認先を整理しておくとよいでしょう。


4. 税務・金融面の支援

国税庁では、令和8年熊本地震に関連して、一定の地域に納税地がある方について、

国税に関する申告、申請、請求、届出、納付等の期限を延長する措置を公表しています。

法人税、消費税、源泉所得税などの申告・納付期限が近い企業は、自社の納税地が対象地域に含まれるかを確認し、

必要に応じて税務署や顧問税理士へ相談してください。

災害時には、会計資料や給与資料、請求書、通帳、電子申告環境などにアクセスできない場合もあります。

期限延長の対象となるかどうかだけでなく、申告・納付に必要な資料を確保できるかも確認しておくことが重要です。

また、経済産業省では、被災した中小企業・小規模事業者に対する金融支援を公表しています。

主な支援には、特別相談窓口の設置、災害復旧貸付、セーフティネット保証4号、既往債務の返済条件緩和、小規模企業共済災害時貸付などがあります。

被災により、資金繰り、設備の復旧、取引先対応、事業再開に影響が出ている場合は、

商工会議所、商工会、日本政策金融公庫、信用保証協会、金融機関などの相談窓口を確認しましょう。

支援制度は、対象地域、被害状況、事業規模、申請要件によって利用可否が異なります。

早めに情報を確認し、自社で利用できる制度を整理しておくことが大切です。


5. 災害時に必要な心のケア

災害時には、制度面の支援だけでなく、従業員の心身の健康にも配慮することが重要です。

大きな災害は、被災された方だけでなく、支援にあたる方、報道に接した方、家族や知人の安否を心配している方にも大きなストレスを与えます。

災害後には、不眠、食欲不振、集中力の低下、強い不安、気分の落ち込み、出来事を何度も思い出すといった反応が現れることがあります。

こうした反応は、災害という大きなストレスを受けたときに起こり得る自然な反応です。

一方で、症状が長く続く場合や、日常生活・仕事に支障が出ている場合には、医師、カウンセラー、産業保健スタッフ、

外部相談窓口などへ相談することも大切です。

企業としては、従業員の様子を継続的に見守り、不調を一人で抱え込まないよう、相談しやすい環境を整えておく必要があります。

上長や管理監督者は、「いつもと様子が違う」といった変化に気付き、無理に励ましたり、一人で判断したりするのではなく、

必要に応じて産業医や産業保健スタッフ、外部の相談窓口へつなぐことが重要です。

また、災害対応にあたる管理監督者や労務担当者自身も、大きな負担を抱えることがあります。

「自分は大丈夫」と過信せず、無理を重ねないことが重要です。


6. まとめ

令和8年熊本地震を受け、国や関係機関から、雇用・労働、医療、税務、金融支援など、さまざまな支援策が公表されています。

企業は、自社や従業員が利用できる制度を確認し、必要な情報を従業員へ案内できるようにしておくことが重要です。

特に、休業や一時離職、未払賃金、医療機関の受診、税務手続き、資金繰りなどは、従業員の生活や企業の事業継続に直結する重要な項目です。

また、災害時には、制度面の支援だけでなく、心身の健康への配慮も欠かせません。

従業員の様子を継続的に見守り、必要に応じて専門家や相談窓口へつなぐ体制を整えておきましょう。

支援制度の利用可否や手続きについて判断に迷う場合は、

社会保険労務士、税理士、労働局、ハローワーク、各支援機関などへ早めに相談することをおすすめします。

社内制度の設計や就業規則の見直し、社内ルールの整備などについてお困りの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。